東日本大震災並びに東電原発震災の被災現状(2011.5.12現在)
南相馬市小高区(原発から15㎞) 小高山同慶寺住職 田中徳雲師より
・激しく、そして長時間(およそ6分)の揺れに本堂は内外の土壁、瓦が落ち半壊状態。本扉やサッシもゆがみ、鍵も閉まらない。脇師の仏像なども損傷。本尊様は、かろうじて須弥壇に残ってくださっている状態。庫裏は使用不能。
・境内の墓地、灯籠、文化財指定の相馬藩侯墓地(29基)も全損壊。
・津波により、檀信徒の多い12の集落が消失。
その後の相次ぐ原発の爆発により地域のコミュニティは崩壊。そして離散。隣近所に住んでいた方が、どこに避難したのかもわからない状態。
・原発爆発後、突然の避難命令に、着の身着のままで避難を余儀なくされ(多くの方がパニック状態でどうやって避難したのかさえ断片的にしか覚えていない)生活そのもの、地域の人間関係など築いてきたものが一瞬にして奪われてしまった。
・放射能による汚染のため警戒区域(立ち入り禁止)に指定され、地震の後片付けが全くできていない。
(強制的に緊急避難をさせられたために、寺に戻るとその日の午後の生活がそのまま閉じ込められているような気がして、胸がせつなくなります)
・さらに原発に近い地域(10㎞圏内)では行方不明者の捜索すらできていない状態。もちろん遺体の回収もできていない。葬儀も供養もできない人も多い。
・長引く避難所生活に精神的にも、肉体的にも疲労困憊状態。
慣れ親しんだ近所の人の顔なども極端に少なく、ストレスがたまっている。
毎日のように顔を見てお茶を飲んでいた仲間が、散り散りになってしまい、とても寂しさを感じている。
・なにより放射能汚染により、先祖伝来の土地、田畑、そして生き甲斐となる仕事を奪われた人々の精神的なショックは筆舌に尽くしがたい。
(ほんとうに故郷に帰れるのだろうか?)
・こんな状態で、そして私のような若僧でも声を聞くとみなさん「方丈さんの声を聞くと落ち着くな~」と言ってくださる。顔を見ると、懐かしさに涙を流してくださる。あらためて地域の皆様に生かされている自分を感じます。
こんな時だからこそ、和尚として、宗教者としての役割、「今ここで自分にできること」をしっかりと勤めさせていただきたいと思います。
檀信徒の皆様との交流は、2ケ月が過ぎようとしている中、少しずつではありますが落ち着いてきたために供養等の依頼が増えています。しかし、それぞれの避難先での供養になるために必要とされる移動距離は相当であります。
(そのために家族と居る時間が極端に少なくなり、家族の深い理解が必要だと思います)
・供養をさせていただく場合、本堂が使えないため、場所の確保に手間取ります。会館を借りていただければ助かりますが、経済的な理由でできない場合もあります。今後、長期的に宗門県内外御寺院様のご協力をいただければありがたいです。
合掌
※支援、ご協力等お申し出がございます場合は、当ホームページより広度寺までご連絡ください。
広度寺住職 謹白